SHORT
□TOvs捏造SS
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ユーリは先程、フィリアに言われたことを思い出し、小さくため息を吐いた。
『自首してください』
彼女は真面目な顔でそう言った。
あまりに真面目に言われたため、ユーリは困ってしまった。
(自首しろっても、俺、やってないんだよな…)
自分は大統領補佐殺害の容疑者として、世界規模に指名手配されている。しかし、実際には無実だ。犯行日時、自分は養父と食事をしていたのだ。
あと、今回の指名手配のせいで今後は、『ローウェル』の名を名乗れなくなってしまうだろう。それが残念だ。実の両親との最後の繋がりであった、この名にはかなりの愛着があったのだ。
もう一度、ため息を吐く。今度は深く、長く。
その時、影が迫ってきていることに気づき、慌ててバックステップをとる。
「余裕だな!『請負人“コントラクター”』!!」
襲って来たのはマイティ・コングマン。フィリアのパートナーだ。
「…そうでもねーよ(“コントラクター”、ね)」
いつから呼ばれていたかは知らないが、荷物の搬送や護衛の仕事を手伝っていると、その異名がつけられていた。
汚れ仕事などやったことないのに今回のせいでこっちの方も極悪人の代名詞に成り果てた。
またため息を吐きかけたが押さえる。
(…バトルに集中しねぇと)
そう思えど、浮かんで来るのは自分に被せられた罪のことばかり。
「ユーリ!後ろ!!」
「でりゃぁぁぁぁぁぁああ!!!!」
「!!」
ファラの叫ぶ声に後ろを見ると、ロイドがその二刀を振り下ろす所だった。
自分の思考と目の前のコングマンに気を取られ、彼に気付かなかったのだ。
(間に合わない!!)
次に襲ってくるであろう、痛みを覚悟した。反射的に目を伏せると、浮遊感と逞しい腕の感覚が。それは最愛の彼のものと同じで、まさかと思いながら、ゆっくりと目を開ける。
目に写ったのは、陽光の反射する眩しい金と、柔らかい青空。
「大丈夫?ユーリ」
「フ、レン…?」
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