テイルズ

□残された一輪花
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「ダミュロン。会って欲しい子がいるの」

キャナリに連れてこられたのは帝都の下町。

「あら、キャナリちゃん」
「騎士のお姉ちゃんだ」

彼女はどうやら頻繁に降りてきているようで、ここの住民にも信頼されている。
かけられる声に笑顔で応対しながらも彼女は足を止めない。
ただただ黙ってついていっていると足に軽い衝撃。

「おっ?」
「ぅわあ!」

ぶつかってきたのは金髪の少年だった。

「「フレン!」」

キャナリの声と同時に聞こえてきたボーイソプラノ。
声の方を見ると、キャナリとよく似た髪色の少年がそこにいた。
一瞬、女の子だと思ったのだが、服装から男の子(のはず)だ。
その少年がキャナリに気付き駆け寄ってくる。

「キャナリ!」
「ユーリ!」

キャナリもその少年、ユーリを両手を広げて迎える。
驚いてその様子を見ていると、キャナリが満面の笑みを浮かべたまま、ユーリをこちらに向けた。

「紹介するわ。私の弟のユーリよ」

可愛いでしょ?と聞かれて思わず頷いてしまった(確かに可愛いが)。
弟と言うことはやはり男の子だったようだ。
ユーリは少しムスッとした顔でキャナリを見上げる。

「かわいいってゆーな!てかこいつだれだよ」
「可愛いんだから仕方ないでしょ。彼はダミュロン。私の仲間よ」

納得いかない顔をしているユーリに苦笑しながら手を差し出す。
ユーリは握手に応じてくれた。意外と素直なのだろうか。

「あんた、よわそうだな」

……前言撤回。やはり素直じゃない。
それにしても、キャナリの弟ならば、彼もまた貴族のはず


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