SHORT

□闇が産み落とされたその先に
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「どう言う、こと、ですか…?」

静まり返ったバンエルティア号の甲板にチャットの震える声が響く。
そこに集まっていたギルドメンバーたちの視線はチャットの前に立つ、一人の女性に向けられていた。
その女性はチャットをまっすぐ見つめ言った。

「そのままの意味です。あの子は……ユーリは精霊を産む気です。その命を犠牲に」
「そんな、まさか!人が精霊を産むなんて出来るわけが」
「出来るのよ。ユーリなら」

キールが否定しようとした彼女の話を肯定したのはセルシウス。まさに精霊である彼女が肯定したと言うことは、彼女が言ったことは事実と言うこと。

「やはり、ユーリは“始祖の霊長”の血を引いていたのね」
「精霊セルシウス……そう、あの子は私と父を同じとする姉妹よ」

“始祖の霊長”と言う単語に、首を傾げる者がいるなか、エステルが悲痛な声を上げた。

「そんな、“始祖の霊長”は十年前にほとんどが……」
「あなた方、人間に殺されたわ。私たちの父も」
「今回のゲーデ誕生の理由のひとつね」

船員たちが息を飲んだ。
そんな中語り出したのはクラトス。

「始祖の隷長は精霊に劣るものの世界の負を循環させていた種族だ。それを知ろうともせず我々人間は叡智有る彼らを殺め続けた」
「その結果がこれです」
 

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