SHORT

□男の浪漫はキケンな薫り!?
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ゼロスたちが現れる少し前に、ユーリは風呂場近くに来ていた。

故郷の婚約者である幼馴染みから手紙が届いたのだ。
自分は男と偽り、ギルドにいるため、人目のあるところで読むのは気が引けた。とくにお調子者の多い男性陣の前では。
その為、娘の場所に来た。



『ユーリへ

君は今、あのアドリビトムにいるそうだね。
ギルドの仕事は危険だろう。怪我はしてないかい?君はよく面倒ごとに巻き込まれるからね。心配だよ。
だから、出来るだけ早く帰って来てくれないか。
君の顔が見たい。その声が聞きたい。

――君に触れたい。

時間があれば返事を寄越してくれ。
(あまりに焦らされたら僕から会いに行くよ?)

愛してる。

フレン』




読み終わった手紙を適当に畳むと、ユーリは手で顔を煽った。
しかし火照ってしまった顔はなかなか戻ってはくれなかった。

しばらく休んでいこうと近くに腰かけた。

先ほど、パニールが風呂場に入っていったが彼女は長風呂派。しばらくは出て来まい。

そうして数分、さて、そろそろ戻ろうかと思っていた所、突然周囲がうるさくなった。

声のする方を見るとスケベ代表ともいえる三人と少年たちが何やら話していた。
三人といえばのぞき。まさかと思い声をかける。

「おいおい、なんの話だ?」
「おっと、ラスボスかよ」
「あんたがここにいるってことはエステルちゃんは入浴中?」

ニヤニヤと尋ねてくるゼロスに当たりか、と内心呟き立ち上がる。

「なんだ、のぞきでもしようってのか?」

渋い顔をしていたスパーダが、最後の頼みとロアに足止めを頼んだ。

「(今はパニールしかいねぇっての)まあ、いいか。オレも身体、動かしたかったしな」

ユーリはニイッと笑うと抜刀し、ロアへと切りかかった。
彼はその斬撃を簡単に受け止めると、闘気を放出――オーバーリミッツだ。
手加減のない様子にユーリは間合いを取りながら楽しそうに笑った。

「へぇ、戻ってきたディセンダーは力も上がってるわけか」

本気の切り合いを見てその場いた男たちが固まった。

「まさか、ロア《あいつ》久しぶりで加減忘れてんじゃ……」

スパーダがそう言ったとたん、ロアの大技が炸裂。
周りは煙に飲まれた。

煙にが晴れてきてお互いの姿が見えるようになった頃、ユーリはロアに言った。

「…おまえ…船内だってこと忘れてたろ…」
「ごめんね……あれ?」
「どうし……!?」

ユーリを見たロアが声をあげ、周りの男たちもそちらに注目し、目を見開いた。
そして、派手に赤面した。

「ロア、グッジョブ!!」

男たちの様子にハッとして自分の身体を見たユーリもまた、違う意味で赤面した。

胸元が巻いていたサラシごと切られ、豊満な胸が露出していた。

最後の技を食らったとき、嫌な感覚はしていたのだ。
とにかく婚約者以外に見られたことのなかったユーリは混乱し悲鳴をあげた。

(フレン以外に見られた!フレン以外に見られた!!フレン以外に見られた!!!!)

そう考えると勝手に涙が出てきた。
バタバタと足音がしてナナリーたちが駆け込んでくる。

「今の悲鳴は…!?ユーリ!?」
「ちょっとあんたたち!」
「わ、ちょっ、待っ!」

男たちはみんな大きなたんこぶを作ることになった。

「見られてよかった?」
「「「そりゃ、もちろん」」」

純粋なロアの質問にばか正直に答えた。主犯三人はさらにこぶを増やしたそうだ。



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