良牙×らんま

□Dazzling
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騒々しい、浮かれた人の群れ。
みんなこの青さに、暑さに解放的になっている。
きっとこの空間でこんなに冷静なのは俺だけだ。


これだから夏の海は嫌いだ。

なんだってこんな暑い日にこんなところに来なけりゃいけないんだ。
どうせ水には入れないんだから、砂漠にいるのと何ら変わりはないというのに。



「なにムスッとしてんだよ」
らんまは腰に手を当てて屈んだ姿勢で俺を覗き込んでそう言った。
俺は咄嗟に視線を顔ごと逸らした。
こんな隠す面積の少ない水着どういうつもりで着てるんだ、まったく。
いや、別に嫌いではないけど・・・・。だからといって・・・なんでもない。
「おめーさー、見たいなら素直に見ればいーだろ。チラチラ見やがって」
胸の下で腕を組んで、じと目でこちらを見ている。
「誰がお前の水着になんて見とれるかっ」
「んなこと言ってねーだろ」
そう言ってらんまは俺の隣に腰を下ろした。
俺は黙ってらんまに白いパーカーを手渡す。
らんまは小さくサンキュ、と言いパーカーを羽織った。


らんまは鞄を漁りながら俺に話しかけた。
「そんなつまんなそうにしてんなら来なきゃよかったのに」
お目当てのものが見つからないようで、鞄の中身を外に出しはじめたらんまを見て、俺は水筒のお茶を差し出した。
らんまはそっちにあったのか、という顔をした。
「お前が誘ったんだろ。それに別につまらないわけじゃ・・・」
「おもしろいか?このクソ暑い中砂浜で座ってて」
「・・・・・・」
もちろん、おもしろいわけはない。
俺は曖昧な返事をする。
「海に入ればいーのに。今日はあかねいないんだし」
俺たちの前を通った男二人組みがあからさまにらんまを、強いて言うなら胸元を見ていた。
俺は二人組みを睨みつけた。
「それじゃ俺がいる意味ねえじゃねえか」
らんまは見られていることなんて気にも留めない。
「そりゃ、端から見たら海でブタと戯れる美少女にしか見えねーだろうけど。良牙がいるってことはおれがわかってるんだからいいじゃん」
あっけらかんとらんまは言った。
それはそうだが・・・。
俺の言いたいことは全く伝わらないらしい。
らんまは水筒をカラカラと振った。
どこか侘しい音がする。
「なんか食いに行こーぜ」
そう言って立ち上がったらんまは眩しかった。
俺はらんまの差し伸べた手を取って立ち上がる。



「前閉めろよ」
歩きながららんまに声をかけた。
「おめーさ、おれが一緒にいるのがそんなにうれしいか?」
シカトかよ・・・じゃなくて、何を根拠にそんなことを。
ぎょっとした顔をしたのが自分でわかった。
「だっておれが泳いでる間ずっとムスッとしてたのに、おれが戻ってからはうれしそうだったから」
らんまは、かわいいやつ、と言って頭の後ろで手を組んだ。


黄色のビキニを横目で見ていたら、じと目でこちらを見られた。
俺が見てると気にするくせに、なんで他のやつが見ていても気にしないんだ?



いつの間にか浜辺の喧騒を感じなくなっていた。



























♭♭♭
だいぶフライングしました
半そですら着れてない(私が)のに水着を着せてしまった・・・!
 

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