その他

□ありがとう。
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夕食の席に乱馬はいない。今頃は東風先生のところで夕食を食べているだろう。


乱馬の右足にはひびが入っていたのだ。取り敢えず二、三日入院、そのあとは家に帰って来られるそうだ。それでも、乱馬は一週間は寝たきりで大人しくしていなくてはならない。
あたしの、せいで。



宿題をしようと机に向かってみるも手につかない。そのまま机に突っ伏してしまう。
「あかね。入るわよ」
ノックもせずになびきおねえちゃんが入って来た。
あたしのベッドに座り、足を組む。
おねえちゃんはあたしの顔を見るなりこう言った。
「あたしのせいだ、って?そりゃ、あんたがとろいのが原因かもしれないけど、乱馬くんが望んでそうしたんだから。怪我するの覚悟でさ。」
あたしはまだ突っ伏したまま。顔を上げる気にはなれない。


「乱馬くんとしては不本意でしょうね。せっかく守ったのにあかねは落ち込んでて、病院にも着いて来てくれない。口を開けばごめんねしか言わない」
顔を上げる。
ありがとう、あたしは乱馬にありがとうも言えてない。
「じゃ、おやすみ〜。いつまでも落ち込んでんじゃないわよ」
おやすみなさい、と少し笑顔で言うと、なびきおねえちゃんは微笑み返してくれた。
・・・明日はお見舞いに行かなくちゃ。





あたしは学校帰りにケーキ屋さんに寄った。最初は花を買っていこうと思っていたんだけど、乱馬は絶対に花よりケーキのほうが喜ぶから。
あたしがお見舞いに行ったら、びっくりするかな。喜んでくれる、かな・・・。なんだか、ドキドキしてきた。


なんとなく、こっそりと中に入る。
「あかねちゃん。乱馬くんのお見舞い?」
相変わらず気配がしない。びっくりしちゃった。
「と、東風先生・・・!」
「乱馬くんね、あかねちゃんがなかなか来ないから拗ねてるんだよ」
おかしそうに東風先生が言う。
「じゃ、ゆっくりしていってね。僕はこれから往診だから」
軽く手を振って行ってしまった。
「えっ、と、東風先生・・・」


・・・二人きり、てこと?
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