その他

□brightly days
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出会いは、海だった。



あたしはビニールの空気を入れて膨らますボートでうっかり寝てしまって、沖まで流されてしまった。
泳げないあたしは焦った。
ビーチは遠くて見えない。
寝てしまった自分を恨んだ。
そんなときだ。波が襲ってきて、ちっぽけなビニールボートは簡単に転覆した。
あたしは必死でボートにつかまった。手を離したらお終いだ。


そんなふうにして、どれくらいの時間が経ったのだろう。眩しかった太陽もその姿を半分程海に沈めてしまった。
寒い。力が入らない。
もうダメかも・・・。
手がボートから離れて、身体が沈んでいく。

お父さん、おねえちゃん、ごめんね。
お母さん、今から行くから・・・。


誰かに手を強く引っ張られた。死者を迎えに来たの?

あったかい何かが触れた。
女の子の声がする。
あなたは誰なの?
最後にあたしの目に映ったのは、鮮やかな赤い髪だった。




目を覚ましたとき、あたしは民宿の布団の中だった。
後から聞いた話だけど、行方不明になったあたしを、必死に探して助け出してくれた見ず知らずの少女がいたらしい。
名前も聞かなかったけど、赤毛のおさげ髪で、とてもかわいいのに男らしい女の子だったそうだ。





これが、あたしとらんまの出会い。
出会いといっても、あたしはらんまの顔も覚えていなかったんだけどね。

ちゃんとした(?)出会いは、夏休み明けの新学期。






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