駄文
□ある日の出来事
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「ばっ、馬鹿言ってんじゃねぇ!!!!俺は……俺は……っ!!!!」
バスケなんて大嫌いだ!!
「………あの、俺と1on1やりません?」
「……なに?」
ツンツン頭はニコニコしながら俺にボールを投げた。
もう何ヶ月ぶりかわからないぐらいに触れたバスケットボール。
ザラザラした感触が妙に懐かしい。
「いきなりなんだてめぇ?」
「あなたが勝ったら……俺をブッ飛ばしてくれて構いません。
でも俺をブッ飛ばしたら、二度とバスケを『くだらない玉入れ遊び』だなんて侮辱しないで下さい。」
「………。」
「俺が勝ったら……俺の言う事を一つだけ聞いて下さい。」
「………いいだろう。
殴られる前に逃げるなよ。」
「はい♪」
正直バスケなんて全っ然やりたかねぇ。
やりたかねぇけど………こいつの目が俺をコートに誘い出すんだ。
「じゃあ……開始!!」
ーーーー
「ふしゅー………俺の負けですね☆」
「はぁっ、はぁっ、はぁっ…!!」
こいつ息切れ一つしやがらねぇ……!!
動きも鈍いし、こいつ……!!
「さぁ、俺をブッ飛ばして下さい☆」
「はぁ、はあ………てめぇ、手ぇ抜きやがったな!!舐めてんのか!!!!」
「いえ、変態ではないので見ず知らずの人を舐めるなんてしません。」
「このっ……!!」
「……楽しかったでしょう?」
俺が殴りかかろうとして胸ぐらを掴んだ時、ツンツン頭はニコニコしやがった。
「……あァ?」
「バスケ、楽しかったでしょう?」
「てめぇ……何言って「バスケやってる時のあなた、目がキラキラ輝いてました。まぁ息切れはヒドいですけど。」
こいつ、何が言いたいんだ?
「確かに端から見たらバスケは『玉入れ遊び』かもしれません。でも、やってて『くだらない玉入れ遊び』ってスポーツではないでしょう?」
……………。
「本当は『玉入れ遊び』も嫌なんですけどね。でも負けたので言いません。」
……何気に主張してるじゃねぇか。
「……殴らないんですか?」
気付いたら俺はさっきこいつに殴りかかろうと胸ぐらを掴んだままだった。
「あなたが俺を殴れば、あなたにはバスケを『くだらない玉入れ遊び』って罵る権利はなくなります。それなら、俺は殴られた方が良いです。」