駄文

□ある日の出来事
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『おい三井!!ずらかれ、サツだ!!』


俺は怪我でバスケをやめてから毎晩仲間とバイクで走り回ってた。
コンビニの前で仲間とだべって、喧嘩を売られたら買うことを繰り返してた。

俺はバイクには乗れないから仲間の後ろに座って、叫んだりしながら夜の街を走ってた。

『県警上等!!』

そう言いながら警察をおちょくってた時もあった。
俺はタバコや酒はやらなかったけど、そこそこの悪だったと思う。


『三井、覚悟しやがれ!!』

『上等だゴルァ!!!!』


そんなふうに喧嘩を売られた時もあって、その度に喧嘩をしまくってた。


そんなある日


「よっ……と」


パスッ


街中でバスケをやってる男を見かけた。
身長がデカくて、頭をツンツンに立ててるやつ。
俺はいつも街中でバスケをしてる連中を見かけると無性に腹が立って、片っ端からボコボコにしてた。

なのに

そいつには全く腹が立たなかった。


「あと……100本ぐらいは……ん?」

「あ……っ!!」


いきなり目が合った。


「………なにか?」


そいつは優しく笑って話しかけてきた。


「あ、いや……別に……。」


俺は言葉に詰まった。
俺を見てびびらねぇ奴なんて鉄男や宮城以外に見た事ねぇ。


「好きなんですか?バスケ。」

「え………す、好きじゃねぇよ!!こんなもん!!」


いきなり何を聞きやがるんだこいつ!!


「………すいません。
じっと見てたので、好きなのかなって思ったんです。」

「ハン!!こんなくだらねぇ玉入れ遊び、誰が!!ブッ飛ばすぞてめぇ!!!!」

「あはは。『玉入れ遊び』か。確かにバスケはあまり知らない人にはそう見えますよね。
あ、でも痛そうなのでブッ飛ばすのは止めて下さい。」


こいつ……俺が怒鳴ったのに笑いやがった……!!


「じゃあ……あなたはなんで見てたんです?」


本当はこいつのシュートが綺麗で……こいつのオーラっていうか雰囲気に引き込まれたんだ。


「べ、別になんでもねぇよ!!物好きだと思って見てただけだ!!!!」

「そうですか。
悲しげな顔してそんな事思ってたんですか。」

「なに……!?」


悲しげ?

俺が?


「あなたさっきからずっと悲しそうな顔してますよ?」

「俺が……?」


まさか。

俺はバスケに未練なんてねぇはずだ!!


 
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