ミジカイノ
□共同作業
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「暇ーーー。」
何をするわけでもなく、ただのんびりと縁側に座ってる。
さっきからずーーっと座ってる。
いい加減お尻が痛い。
今日は稽古も無く、弥彦は赤べこ。だから今は剣心と二人きり。
…なのに!剣心は朝からずーっと家事ばっかしてて、アタシはする事が無く、さっきから剣心の華麗なる洗濯技術を見ている。
だが厭きた…。暇だ…。
ハァーーー
剣心に聞こえるように大きな溜め息を吐く。
だが、まだまだ終わりそうにない剣心。
アタシの溜め息に少し困った顔をしている。
「良かったら、薫殿も一緒に洗濯するでござるか…?」
ゴシゴシと桶の中の洗濯物を洗いながら、ニコッと笑って剣心が尋ねる。
なんで折角の休みに二人で洗濯なのさ!と思ったが、他にする事も無い。
「……まぁ、いっか。」
そう言って、すっかり硬くなった体を起こして大きく伸びをする。
よし、やるか!!
気合いを入れて、腕捲りをしながら剣心のもとへ行く、だが、まだまだ終わりそうにないと思っていた大量の洗濯物は、もうほとんど綺麗に洗い終わってて、最後の一枚は剣心が洗って、今絞っている。
「なぁんだ、もう終わりじゃない…。」
剣心の隣にしゃがみ込んで、残念そうに呟く。
でもこれでやっと剣心と何かできる!そう思うと胸が弾んだ。
「いや、薫殿大丈夫。まだこれらを干さねばならぬから、薫殿の仕事もちゃんとあるでござる。」
そう言ってまたニコッと笑う剣心。
そして桶の中の水を捨てて、その中に洗い終わった大量の洗濯物を入れる。
その桶ごと抱えて剣心は竿へと向かう。
ガックリ……
あぁ、そっか忘れてた…。
肩をうなだれ剣心の後をトボトボ付いていく。
「よいしょ。」
と言って、竿の傍に腰を下ろして桶を置いた剣心は、確かに二十八のオッサンに見えた。
そしてその場にしゃがみ込んだままの姿で此方を向き、
「薫殿。」
ちょいちょい、と手招きをして剣心が呼んだ。
「なぁに?剣心ー?」
言いながら剣心に近寄る。
すると剣心は立ち上がり、袴をパッパッと軽く払う。
「薫殿、拙者が洗濯物を干すから、薫殿は拙者に渡すでござる。」
そう言って既に一枚、桶から取り出したサラシを竿に掛ける剣心。
共同作業。
そんな言葉が頭に浮かんぶ。何だか照れる言葉だな…。
そう思いながら、洗い立てのしわしわな洗濯物を一枚桶から取り出し、剣心に手渡す。
続く