『そして‥‥』

□第一話。
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今思えばあれは、数年前……と言うより約200年ほど前、と言った方が正しいだろう。



あれは、歴史に名を残す程度のものだった──





……それはオヤジに聞いた話だが、イマイチ信じがたい話でもあった。
つい最近の話だが、その時の俺にはなかなか理解できなかった。



まさか、あの事件を起こした人物が今の俺と大差変わんないなんて……。





―――…‥


『……はぁ?あの森には近づくなぁ〜!?』


俺はオヤジにこんな話を聞かされた。

あの森、とは……町から少し離れた場所に綺麗な小川のあった。……きっとあの森のことだろう。


だが何故?



「そうだ。あの森には近づいてはいけない」
『なんで近づいちゃいけねぇんだ?』
「あの森にはな……一人の少年が封印されている……」


その時の俺にはまったく話がつかめなかった。
あんなにいつもは明るいオヤジがその時には少し、暗そうな顔をしていたから……。
だが、オヤジの話によるとあの森には少年が封印されているらしい。
ガキ一人に大袈裟な……。


『ふーいん?その子、元々悪い奴なの?』
「いや、その少年は元々優しい性格で、友達もいて、家族に愛されていたよ……」
『……なんでそんな奴がふーいんされてんの?』
「……ある日を境に彼は……変わってしまったんだ……」
『変わった?』
「…ああ、変わってしまったよ。彼は変わってしまったんだ!あの頃の彼はいない!もぅどこにもいない!いくら探しても見つからない!だって彼はあそこに……あそこに、いるから……」
『?』


…最後まで言葉は聞き取れなかった。何故なら、その時発せられた言葉はとても小さく、とても……弱々しかったから……。




―――…‥

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