『そして‥‥』
□第一話。
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今から数年前に、とある事件は起こった。
その事件は人々の記憶にとどまり、消えることはなかった。
何故なら、その事件は…──
第一話。
「ケイー?メシ出来てるぜー?」
『……』
ここは、古びた町イエーズ。
住民は少ないが緑が多く、沢山の動物がすんでいて平和な町。
そして彼、"ケイ"と呼ばれた少年は何もこたえない。
それは何故か──
『すー……』
──寝ているからだ。
いいのだろうか、起きなくて。
……ぃや、ダメだろう。そもそも起きなきゃ始まらないし。
『すー……』
規則正しい寝息。
……だめだ。
全く起きる気配がない。
「おーい、ケイ起きてっか〜?」
起きてませんよ。起きているわけがないでしょう?起きてたらきっと今ごr…
『……ンだよ?オヤジ』
……前言撤回。
ちゃっかり起きてました。
「"ンだよ?"……じゃねぇ!!早くしねぇとメシなくなるぞ」
『はぁ!?』
「んじゃ、伝えたからなぁー…」
『って、ちょっとおい!……ったく』
そぅ言い……俺は目線を外に移す。
いつもどおり、今日もイエーズは平和だった。
数年前に事件があったなんて、誰もが思わなかっただろう……
……なんせ、あの事件はこの町、イエーズで起こったのだから。
なのに──
『今日もいい天気だな』
俺がそう呟くほど今のイエーズは平和で……
このイエーズで事件が起こったのが嘘のようだ。
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