original
□【夕闇】(side)
1ページ/6ページ
「ふぅ。今日も1日無事にすんだわね…って、聴いてる?」
「…………」
机の上にあった書類にすべて目を通したあとの、溜め息とともに出た安堵の言葉。
しかし無情にも、時計の秒針が一周してしまった。
(無視って……)
珍しく良いことを言ったと思ったのに、目の前にいる彼女のおかげで気分が台無しになってしまった。
最近(昨日今日に始まった事ではないが、はじめに比べて)真月(マガツ)が言うことをきかない。
暗殺者としての腕は超一流だけれど、性格もまた自他ともに認める“悪鬼”で…。
手元にあった書類を机の隅に置き、私は真月のいるソファーへと腰を下ろした。
対面側に座ると、彼女の顔がよく見える。
彫りの深い顔立ちに、灰銀色の髪。
総てを見透かしそうな瞳は、まるでどこかのアンティークドールを連想させる。
.