「落ちるぜよ、そんなところにいると」


『落ちたら、助けてくれるでしょ?』


「勝手に決め付けんなや、例え俺でものぅ屋上のフェンスに乗ってる女を助ける気にはならんよ」


『嘘吐き、ホントは死ぬ気で助けるくせに』



「口の減らない女じゃのぅ」



両手をひろげる



『ねェ仁王、あたし小さいね』




「胸が?」



『殴るよ』


「冗談」





『このあたしでも高いところに立てばこんなにも小さい』


「自意識過剰」




『だってここから落ちても誰もわかんない、誰もあたしを見つけられない』





『あたしはちっぽけだ』




世界に負けた。








「おっこらっせ・・・っと」



『なにしてんの』


「お前さんがそこまでいうからどんなもんかと思ってのう」



「わー、なんて綺麗な眺めなんでしょうか」





『棒読みね』









『よし、飛ぼうか』


「なんで」


『世界に勝とう』


「挑むな」


『嫌だ、もう傍観者だらけの空間には疲れた。おもしろいこともない。ならさ、おもしろいことしようよ!』


「そんで、飛ぶってか」



『うん、素敵じゃない』



「道ずれ歓迎じゃな」







「悔いは?」


『ある』



「なん?」



『仁王と付き合いたい』



「拒否」



『これで何回目?』


「おれ、おまんのこと嫌いじゃもん」



『いいじゃない』





「あ、でも今のお前さん好きじゃ」



『どんなところが?』



「頭おかしいところ」




『最高の誉め言葉ね』




「だから特別、付き合ってやる」




『はい、悔いはなくなったわ』






さァ、大好きな人と手を握ぎって







「『せーのっ』」











世界の隅っこで踊ろう。











さよなら、お元気で


(どうせちっぽけなのは変わりない)






そして、あたしも。 移転先



88469人目のさよなら






















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最終更新日 2011/03/29




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