School Your Life

□School Your Life
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「付き合ってください!」
僕が声をかけた先には、高校に入学して同じクラスになったときからずっと好きだった子“水沢春華”がいる。
そう、僕は今生まれて初めての告白というのをしているのだ。
―――つ、ついに言ってしまった
心の中で僕は戸惑っていた。時間が過ぎるのが長く感じる。相手の返事が返ってくるまでこの場に立っているのがどうしようもなく不安で落ち着いていられない。今にでもどこかに立ち去りたい気分だ。
けど、返事が気になる。矛盾しているような考えがさらに不安を煽る。
「あの、その・・・」
相手が声を発する。本来はおとなしい子ではなく明るい子なのだが、今は大人しげに見える。やっぱり告白されて戸惑っているのだろうか。
―――声の調子からして振られるのではないか。
さっきとは違う不安が頭を過ぎる。
「いきなり変なこと言ってごめん!返事は明日でもいいから」
そう言って僕は帰ろうとした。さっきの言葉は半分自分のためでもあった。返事を知るのが怖い。その気持ちから出た言葉だ。
実際、いきなりだったのには違いない。体育館の裏に呼び出したわけでもない。校舎の中庭で大き気の周りにベンチが四つあるただの休憩所のような場所だ。
偶然通りかかり、偶然会ったから今がチャンスと思って告白した。本当にいきなりなのだ。
「じゃあ、また明日・・・」
僕はそう言って後ろを向き、足を進めた。
―――その時
「待って!」
後ろから声がした。もちろん、水沢春華の声だ。
「私も悠一君のことが好きです!」
“好きです“確かにそう聞こえた。聞き間違いなどではない。“悠一”それは確かに僕の名前だ。僕の知る限り“ゆういち”という名の人はいない。この学校全体では他にもいるだろうが、今この場所には僕しかいない。
つまり、それは僕に差し向けられた言葉ということだ。色々考えながらも後ろを振り向いた。
「うっ!」
思わず僕は声をあげてしまった。何故ならさっきまではそれなりの距離があったはずなのに振り向いたらほとんど真後ろに居たからだ。普通は驚くだろう。
「じゃ、一緒に帰ろう?」
目の前の少女は笑顔で言った。
―――こんな展開、夢なのではないか。
と僕は思った。
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