悲しみの先にあるもの
□悲しみの果て〜前編〜
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―愛してた―
この世界の…宇宙の誰よりも…
幸せになるって決めたのに…
私はいきなり先の見えない地獄へと突き落とされた…
西暦2033年。地球より遥かに離れた一つのとある小さな惑星。その星の人口は5万人ほどで、文明も今の地球と変わらないくらいに発展している。
見た目だけなら、地球人とほとんど変わらないのが、この星に住む住人達の特徴でもある。
――そんな星に暮らす男女が一組――
「ちょっとー!サイル!お弁当忘れてるー!」
1人の女性は溢れんばかりにそう叫んだ。
「…………まったく…いくら最近忙しいからってお弁当忘れたりしないでよね。
本当にあなたってセッカチね。」
実際の年齢より見た目は少し若く見えるその女性の名はフィレス。
この惑星に住む至って平凡な女性だ。
「はいはい…分かってるよ…フィレス…」
溜め息まじりにフィレスの恋人であるサイルが言う。
―――――まったく。この人はいつもこう。
―――でも。
そんな彼の一面も――フィレスはたまらなく好きだった。
所謂惚れた弱みという奴である。
同居生活を始めてから、早1ヶ月。
フィレスはもっとダイルを好きになっていった気がした。