Chase the chance

□ギフト
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ジュウレンジャーの本拠地とも言える、地下深くに存在する神殿の近くには、人通りも全くなく、彼ら戦士の鍛練には絶好の大きめの広場があった。

普段は、剣の交える音以外は至って静かなのだが、この日は少し違っていた。


「ボーイの馬鹿っ!もう知らないっ!」
「あっ、メイ!」
ジュウレンジャーの紅一点である戦士、メイは同じ戦士であるボーイに、ありったけの罵声を浴びせると、彼に背を向けて走り去ってしまった。

普段、メイはよほどの事がない限り大声を出したり、元々プリンセスであるが故、他人を汚すような言葉を吐いたりはしない。

一体、何があったのだろうか…。


「おい、ボーイ。今、メイが走り去って行ったが、何かあったのか?」
「あっ、ゴウシ…」

その時、偶然近くにいた1番年長の戦士、ゴウシは走り去るメイを目撃し、不審に思った彼は、ちょうどメイのすぐ傍にいたボーイを見つけ、声をかけた。

「いや、それが…」
「?」
ゴウシの問いに、ボーイは何故か言葉を濁した。


「おーい!ボーイ、ゴウシ!今、メイの声が聞こえなかったかー?」
すると今度はそれほど遠くない距離から同じ戦士の一員である、ダンの声が聞こえる。

よく見ると、ダンはこちらへ向かって走って来るではないか。

どうやら彼も、メイのいつもと違った様子を目撃していたらしかった。

「なるほどなー。でもメイがそんな台詞吐くなんて考えられないぜ。」
「…そうだな。ボーイ、何かあったなら、話してみろ」
「…わかった」

困った顔をしていたが、ボーイは渋々先程起こった出来事をゆっくりと話し始めた。
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