Chase the chance
□Stars to shine again
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――あの時のお礼はなにがいいかと私は考えた。
――けど貴方は別にいらない……って言ってる……
――でもね。そんなことで、私が引かないのは、シロップが一番よく知ってるよね?
「んー…やっぱり…これしかないですね!」
ある日の昼休み。
うららは学園の廊下をのぞみ達の待つテラスへ向けて、ゆっくりと歩いていた。
ゆっくり歩いているのには理由があった。
うららの手には小さなメモ帳。
そのメモにはぐちゃぐちゃに文字が書かれていて、その文字の中に小さく○が付けられていた。
そこに書かれていたのは――『特製ホットケーキを作る!』……という文字だった。
この間。
素敵な花畑にシロップが連れてってくれた。
うららはそのお礼がしたくて、シロップが喜びそうなお礼を考えていた。
本人に聞くのが一番!……と思って、シロップに聞いてみたが、「別にいらない」……の一言で済まされてしまった。
それでも諦めがつかないのがうららの性格。
仕方なく、うららは1人でシロップに対するお礼を考えていた。
そうして――思いついたのが、ホットケーキだった。
――が。
「ただホットケーキを作るだけじゃ……お礼にはなりませんよね……」
普通にホットケーキを作るだけなら、理事……もとい、おタカさんや、くるみにだってできる事。
うららは考えた。
ホットケーキに何かアレンジ出来ないか。
「――よし。」
何かを決意したうららはメモ帳をポケットにしまって、少し駆け足で、のぞみ達の待つテラスに向けて走り出した。