Precious Time

□Wake me up
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もうすぐやって来る…



体育祭の季節。












「あのさ!あのさ!サクラちゃん!俺ってば絶対全部の種目に出るってばよ!!」
「無茶言うわね……ナルト……
………それじゃあ…ナルトは全部の競技に出場っと……」
「よっしゃー!!」
「後悔しても知らないわよ……」


季節は10月。
紅葉が綺麗なこの季節。
サクラ達が通う学校ではもうすぐ体育祭が開かれようとしていた。

学級委員のサクラとシカマルがクラスを仕切って、誰がどの競技を出るかを決めていた。





「……男子は決まりね。
次は女子の出場決めね……」

やはりまだ中学生な為なのか、あれに出たい、これに出たい
……とクラス中で意見が出た。




結局。出場決めが大体決まったのは四時間目授業の終わりのチャイムとほぼ同時だった。














「まったく…ナルトってばどう考えたら全部の種目に出たいなんて言うのかしら……」


――昼休み。


空をぼーっと眺めながら、サクラは屋上にいた。

晴天に近い青空はサクラの心を和ませた。

なぜ、サクラがいの達と一緒ではなく、1人で屋上にいるかというと。

サクラは待っているのだ。

今の彼女にとって一番大切な人である―――彼を。









“彼”が屋上にやって来たのは、それから数分後の事だった。

――ガチャ。

乾いた音ドアが開く音と同時に彼はやって来た。
「悪い。サクラ。待ったか?」
「あっ…ううん…私も今来たばかりだし…」

呼び名が名字から名前へ。
念願叶って。
中学に入学してから想い続けてきた人物――――うちはサスケと付き合いようになって早2ヶ月。
時々こうして、無人の屋上で二人で昼食を食べるのも彼等には日課になってきた。
しかし。
いつも二人揃って屋上へ来るはずなのだが、今日に限ってサスケが遅れたのは訳があった。

「……で。結局どうなったの?」
「……ああ…一応俺がリレー出るって言ったら、とりあえずおさまった」

サスケはさっきまでナルト達に散々これやあれだの種目に出場しろ!!
……と迫られていた。
まだ出場枠が少し残っている種目があるため、出場数の少ないサスケがあれにでろだの、これに出ろだの、ナルト達に迫られていたのだ。
元々サスケはこういう行事には性格上積極的に参加するような人ではない。
しかし。

クラスには自分と正反対の考えをもつ者ばかりで。
元々運動神経が良い方のサスケはクラスが優勝するためにはコイツは欠かせねぇ!!
……とナルトが踏んだのだろう。
クラスの男子はあれよこれよ、と詰め寄ったのでろう。
結局。
サスケがあとリレーに出場する……(元々サスケが出場する種目はいくつかあった為)ということで、とりあえずこの一件はおさまった。
そのためサスケはサクラの前に遅れて来たのであった。

「全く…普段は勉強出来ない奴だからかしら。
いるわよね。こういう勉強以外の行事で燃える人って。
まさにナルトがそうよ。
サスケ君もそう思わない?」
「……サクラ」
「……え?」

サスケがやって来たので、サクラはお弁当箱を開けて昼食を食べようとしたが、その手をサスケに止められる。
「…サ……スケ君?」
「…あんまり俺の前で他の奴の話はするな」
「えっ………うん…ごめん…」

そんな事をサスケに言われたら、サクラは何も言えなくなる。
サクラから言葉が失われていくのと反対に彼女の顔はどんどん赤く染まっていく。

――でも。
嫌だとは思わない。
寧ろ独占欲の強さに嬉しささえ覚えるほど。

(……サスケ君のそういう所も含めて好きなったんだよね……)


――そんなサクラの純粋な気持ちとは裏腹に。サスケはというと。

自分の隣には顔を真っ赤に染めて俯いている愛しい人。

そんなサクラの顔を見るとサスケの悪戯心に火をつけるとも知らず。

「……?サ……スケ…君…?」

サクラはきょとんとした顔のまま。
サスケはサクラに顔を近づける―――
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