Precious Time

□Notice my mind
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――――季節は夏。

―――――そしてもうすぐ夏休みがやって来ようとしていた。



「はぁ〜やっと終わったわ…」
ようやく訪れた期末テストの終わりに山中いのは解放感で肩を落とした。
「終わっちゃった…なぁ…」
「は?サクラあんた何言ってんのよ?期末テストが終わって普通は喜ぶでしょ!?」
いのは隣に並んで下校していた春野サクラに思わず声を上げた。
「……だって…夏休みになったら…1ヶ月以上サスケ君に会えなくなるんだよ!?」
「……………」
――あー…そっちの方でしたか…
……と思いながらいのは半ば呆れた様子でサクラを見た。
――別に夏休みになろうが、いつでも会いに行けば会えるでしょーが。
…………とは言えず。いのは黙って親友の言葉を待った。
「でも…それだけじゃない…気持ちだって…まだまだ私の一方通行だもん…」
「それで?」
「それで…って…」
「そりゃそうでしょ。サスケ君との距離は縮まってない。でもそれがどうしたっていうのよ。いつものサクラなら、そんな事も前向きに考えてるでしょうが」
「あ………」
いのに言われて気付いた。

いつもの私ならこんな小さな事で悩んでない。もっと前向きに考えてる。
―――私……いつからネガティブになってたんだろう…。
「そうよね…!いつもの私らしく、前向きに考えるわ!夏休みだもの!会えなくても、一緒に遊びとかに誘ってみればいいのよ!それで少しでもサスケ君に近づいてみせるわ!しゃんなろー!」
いのの言葉でようやくサクラは自分らしさを取り戻した。
「おー…それでこそサクラだわ。じゃ相談賃はソフトクリーム一個でいいわよ。」
「えええっ!!」
ようやく元気を取り戻したサクラだったが、直ぐに地獄のどん底へと突き落とされた気分だった。
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