『僕とアルエント』

□綻びる花
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僕は日常に引き戻された。

それは、アルエントの世界から戻ってきたときにも思ったことだけど、今度のそれはまた少し違う意味もある。

アルエントと僕を繋ぐ、ひとつだけの存在である本は、僕が戻ってきてから変化を見せた。
いや、もしかしたら最初からそうだったのかもしれないけれど…。

僕が読んだところから先は、何一つ文字が書かれていなかったんだ。

こんなの、普通売り物にならないよね?だからきっと、僕があの世界に行ったから…物語が変わったんだよ。
ほら、アルエントと僕の事も本に書かれてたし…そう考えるのが一番妥当だと僕は思うんだ。

僕はあれから、この本だけはなくならないようにと…図書室の先生に頼み込んで半永久的に貸し出しを許可してもらっている。
あんまり人気の無い本だし(読んだのは僕1人だった)、僕の熱意に負けてって感じだけど。
でも、これで僕はこの本を持ち歩いていられる。また急になくなら無いように。



なのに。



「無いっ!!!!」


僕がそう叫んだのは、僕がアルエントと出会ってから…2ヶ月後のことだった。




「綻びる花」








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