◆main story◆

□water colored,        weathercock 2
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「待ちわびたぜ一護ォォ〜!!!!!」

感極まってほとんど咽び泣く勢いで一護に飛び付いた啓吾は、あっさり踏まれて地面に潰れた。




water colored,weathercock 2






皆で鳴木市の花火大会を見に行こうと、泣いて啓吾がせがんだのは終業式の日。
その時は曖昧な返事しかしなかった一護が来てくれて相当嬉しいらしい啓吾のテンションは、いつにも増してハイだ。

「しっかし水色お前、またえらいこんがり焼けてんな」
「まぁね。暑かったよープーケット。日焼け止め塗ってもこれだもん」
「日焼け止めって、女かお前は」
「今時は焼きすぎも身体に良くないし。って、お姉さん達に寄ってたかって塗られたんだよね」
「‥‥ヘー」
「ねぇそこのお二人さんこの期に及んでまだ俺ハブる気ですか‥‥?」

ほんのちょっと二人で喋ってただけで物凄く恨みがましい目で見て来るんだから、よっぽど淋しかったんだねぇ‥‥。
夏休み前にウザいくらい張り切って遊びの計画を立ててた啓吾を横で見ていた僕としては、少しだけ同情心がわく。
まぁ僕は端からプーケット行きが決まってたので、袖にする気満々だったんだけどさ。
さすがにちょっと可哀相だったかな。
 
賑やかなのが好きな啓吾の為にも、早く女の子達来ないかなぁと思いながら、何となく一護を見る。


終業式の日、一護はちょっと様子が変だった。


欠席した石田君を気にしてる風だったからまた彼絡みかなとも思ったけれど、何故だか張り詰めたみたいな空気が一護を纏っていて、訊くに訊けなかったのだ。
――ちょっと雨の日の一護と似てると思った。
同じ、ではないけれど。


何とはなしに気になってたけど、今見る一護にあの時の陰は無くなっていて、ホッとする。

(ていうか、顔つき変わったんじゃない一護?)
 
ほんの十日降りだっていうのに、啓吾がゲーム三昧の毎日送ってた間に、何があったんだろうね?


 
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