◆main story◆
□water colored, weathercock
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ぼくの繋いだ世界に現れた太陽のようなきみは、月のようなかれと相反しながら惹かれ合う。
その関係性は何だろう?
water colored,weathercock
“階段から落ちました”――なんて、どう見ても嘘八百な理由を口にした彼の両腕に巻かれた白い包帯を、あからさまに一護は気にしていた。
クラスメイトの半分も識別できていない一護にしたら、今まで特に目立つ振る舞いをしてこなかった彼の存在は、今朝の遅刻登校で初めて認識したと言っても良いくらいなんじゃないかと思ってたんだけど。
(なんだろうね、眉間の皺三割増しにしちゃってさ)
一体何があったのやらと見ていると、当の彼をなんと昼食に誘うのだから、さすがにびっくりだ。
対する彼の一護への態度に、またまた驚いた。
これまたあからさまに、他のクラスメイトに対してとは全く違う口調に違う表情なんだから。
(‥‥へぇ?)
騒がしいリアクションで動揺する啓吾を余所に、ぼくはこの二人に興味をひかれていた。
彼の怪我に一護が何かしら関わったのだろう事は、ほぼ確信していたけれど。どうも、それだけじゃないみたいだ。
啓吾をダシに了承を取り付けた一護は相変わらずの顰めっ面で、そうかじゃあ屋上行くぞと早口に言い捨てて踵を返す。
‥‥この時点ですでにいっぱいいっぱいって、どうなんだろうなぁ‥‥。
行こうか、と見た彼が眼鏡を押し上げる手で隠した、一護の背中に向けるムッとしたような表情はたぶん、近くで見てた僕でなければ気付かなかったと思う。
なんと言うか、呆れた。
(結構、表情豊かなんだなぁ‥‥一護に対して限定で?)
ともかくも啓吾に彼の分のパンを購買へ買いに走らせ、ぼくらは屋上へ足を向けた。
屋上での昼食は予想に違わず気まずい空気の中で、しかしそれなり滞りなく(一人テンパってた啓吾はともかく)済まされた。
苦虫噛み潰したみたいな顔をしながら弁当をつつく一護と無表情に焼きそばパンを食べる彼の会話から、ああなんだ似た者同士なんだなこの二人、とまでは察する事は出来た。けど。
だけどさ、似た者同士っていうのは、反発するか惹かれ合うかのどちらかだと思うんだ。