book

□parody party paranoia
1ページ/4ページ

※この話はBLEACH.-99扉絵を元にしたネタ物になっております。状況設定捏造等、ご理解の上レッツゴー。





parody party paranoia








井上織姫を救出する目的で向かった虚圏で、各々が筆舌に尽し難い様々な戦いを経て。
やっとで掴んだ勝利と取り戻した平和な時間とを称え分かち合うべく、細やかながら祝勝パーティーを企画し、集った仲間達。
その最中にあって、黒崎一護は不機嫌に眉を顰めて、隣りに座す石田雨竜の横顔を見つめていた。

「‥‥おい」
「なに?」

声を掛ければ返事はするが、素っ気無い。視線は手元のパスタに落としたままだ。

「何怒ってんだよ、オマエ?」
「別に。怒ってなんかないよ」
「嘘吐け、すげぇ態度冷てぇじゃねえかよ」

苛々と睨み付けても、雨竜は一護を見ようともしない。何が“怒ってなんかない”だ。
虚圏で別れて、その後再会を果たした時には、確かに互いの無事を喜びあった筈だった。
憎まれ口を叩きながらも雨竜は安堵の笑みを浮かべて、一護の耳にだけ聞こえる声で「君が無事で良かった」と告げてくれたのだ。
思わずその場で抱き締めたくなるほど愛しさが込み上げた一護だったが、その時は必死に堪えて。全てが落ち着いたら思う様‥‥と、思っていたのだが――。

慌ただしく日々は過ぎ、二人きりになれる機会はなかなか訪れず。漸く今日再び会えた雨竜は、何故か一護に対してだけ冷たかった。
更に雨竜が妙に恋次と仲が良さそうに見えるのが、より一護の機嫌を悪くした。
いつも自分と交わしていたような皮肉混じりの軽口を、一護を無視して恋次に対して口にする。全く以て面白くない。
自然な流れで隣り合う席に着きそうになった雨竜と恋次の間に無理矢理割り込み、強引に雨竜の横を確保した一護は、ついでに恋次を端の席へと遠ざけて。
食事が始まって以降もジッと雨竜を注視してみたりもした。が、雨竜は無視だ。いい加減我慢も限界だった。

「俺が何かしたかよ。感じ悪ぃなオメー」

テーブルに肘をつき身を乗り出して、雨竜にきつくガンを飛ばす。
しかし雨竜はますます眉間の皺を深くしてムッツリと黙り込み、やはり一護を見てはくれない。
 
「‥‥おいって!聞いてんのか石田!!」

痺れを切らして声を荒げた一護が、キツく雨竜を睨み付ける。
それを受けて漸く、雨竜はパスタ皿から顔を上げて、一護を見た。
ゆっくりと、怒りに満ちた表情で。

「君は何も思い当たる事は無いのか黒崎」
「――え、は?」

じとりと睨み据えられて、思わずたじろいだ。そこに雨竜は静かな口調で畳み掛ける。

「虚圏で別れてからの君の戦いを見たよ。随分モテて大変だったみたいじゃないか」
「‥‥は?モテ‥‥って何言ってんだお前?」
「付け狙われてご苦労な事だね。ああでもそれだけじゃないか、ネルちゃんに抱きつかれてたのは役得って所かい?」
「なッ‥‥」

絶句する一護をよそに、雨竜は苛立たしげにパスタをフォークに巻き付ける。
 
「さすがは主人公だね、皆から執心されて結構な事じゃないか」
「まっ、待て待て待て!ネルはともかく他の誰に俺が、も、もてたって」
「グリムジョーとかウルキオラとか、ドルドーニとか」
「―――いやそれ敵じゃねーかよ!!?」
「敵にも関わらずタラし込むあたりが悪質なんだよこの天然タラシ!」

言いながらテーブルを拳で叩く雨竜に、一護はまたも絶句させられた。言い掛かりも甚しい。
そう反論しようとして、一護はハッと気がついた。
それを言うなら雨竜はどうだったというのだ。

「‥‥お前こそ俺の見てないとこで、あの白アリみてぇな奴と仲良くやってたじゃねーか」
「‥‥え?」
 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ