ひぐらしのなく頃に

□寂しさとやきもち
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「圭一、この問題…
……どうしたのですか?」


「え?」


「みぃ…
圭一はさっきからボクが話していても、ぼーっとして上の空なのです。
夜更かしでもしたのですか?」




駄目なのですよ、と梨花ちゃんは可愛らしく笑った。



…その通り。
昨日は、悟史が村を出ていく事を考えていたら全く寝られなくて…

多分それでぼーっとして、梨花ちゃんに気付かなかった…んだろう。
意図せずした事とはいえ、悪いことをした。




「ごめんな、梨花ちゃん」


「気にしなくて良いのですよ、それで圭…」


「圭一ちょっといいかな?」




びくん。


梨花ちゃんの後ろにはいつの間にか悟史が立っていた。





駄目だ。
悟史のこと、何故だかまともに見られない……





「ごめ、俺トイレ!」


「待って圭一!」




それは、今までに聞いた事がないくらい真剣で…少し怒気が篭った悟史の声。


俺は振り返らず、そのまま教室を出ようとしたけど、悟史に腕を掴まれた。




「圭一、何で僕のこと避けるの?」


「…避けてない」


「僕、何か悪い事した?」


「…してない」


「じゃあ何で避け…」


「避けてねぇよ!」



…悟史とこんな殺伐とした会話をするのが嫌で。
早く離して欲しくて。

思わず、拒絶するように叫んでしまった。


俺の突然の大声に、クラス中の視線が俺達に集まる。
それを受け、悟史が手を離した。

僅かに躊躇ったあと、俺は悟史を見ずにそのままトイレへと駆け込む。



…コンナハズジャナカッタノニ。



そう何度も思いながら。




その日の授業中も部活でも、俺と悟史は一度も話さずに家に帰った。


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