銀魂

□忘れ物
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「…ふーん。」





………。


『気を引きたい人くらいいる』?
それってつまり…




「ひ、土方、好きな人とかいんの…」


「います」




…あ、やっぱいるんだ。

そっか。
そりゃいるよな。


高校生だもん。
今更、驚くようなことでもねーよ。
…だから落ち着け、俺。

『恋愛沙汰学ぶ必要あんのかー』なんて軽い冗談のつもりが大火傷……



「…その人は、まぁ、ちょっと捻くれた性格してんだけど、凄く芯の通った生き方してて。
例え違う世界に生まれたとしてもきっと好きになると思います。」




すごく嬉しそうに話す土方を、俺はまともに見れなかった。


…普段、感情なんか出さないくせに。
聞きたくない。嫌だ。



…なのに口が動く。


聞いてしまう。

聞いたって仕方ない事くらい分かるけど。

けど。




「…それ、誰?」




妙に上擦った声になる。


土方が俺を真っ正面から見た。

心臓が変な脈をうつ。
体中が冷たくなったような気がした。




「……先生、です」




――予想外の答えが俺の鼓膜を震わす。
それは至極真っ当な声音で。





……え?


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