銀魂

□雨宿り
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「…何かあったか、チャイナ。」



私の心を見透かしたように、唐突に総悟が聞いてきた。



…普段なら絶対話さないんだろーけど。
心が弱ってる時は、どんな奴だろうと話したくなるものネ。



「…さっき、幸せそーな家族を見たネ。
可愛い服を着て、パピーもマミーも娘も笑顔で。
…そーごの家族ってどんな感じだったアルカ?」



「…さぁ?俺ァ、両親のことはよく知らねーよ。
まぁ、真選組が家族みたいなもんだから、その…普通の家族の幸せってのはよく分かんねぇな」



そーごは少し悲しそうな目をしていた。




「私もヨ。
家族ってよく分かんない。


…ただ、凄く楽しそうだった。
一人ぼっちの自分がえらく惨めに見えたアル。
家族の温もりとか、人に抱かれた心地よさとか、全然知らない自分が凄く寂しい人間に見えたネ。」




今日は休日だったから、そんな家族は街に山ほどいた。
最初は気にしないようにしてたんだけど……一度目につくとなかなか、ネ。


そんなありふれた物を知らない自分が嫌で。
気付いたら、その光景を避けるように座りこんでいた。

そうしていたら、いつの間にか雨が降り始めて……
今に至る、と。
つまりはそういう訳アル。




…総悟はこういうこと思ったことないのかな?



――静寂が流れる。
煩かった雨の音は、何故か遠く感じて。
その雨音さえも悲しげに聞こえた。



と、総悟が突然、口を開いた。





「……抱いてやろーか」




…蚊の鳴くような小さな声で。


私の脳がその言葉を理解するのに、数十秒を要した。




「………え?あ!
なっなっなっ、何言ってるアルかぁ!?///」




顔が真っ赤になるのが分かる。


総悟はそっぽを向いたままこちらを見ようとしなかった。


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