小説

□左
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「光秀、なんで俺の左側にすわるんだ?」
「あなたの左側が好きなんです。」
「?何でだ?」
 
首をかしげながら考え込む元親。

だってあなたの右側は、多くの人が寄ってくる側。目を見て話をするあなただから、左側に人を寄せない。
だからあなたの左側が、好きなんですよ。
私以外にここは座れないでしょう?
私と目をあわせたいときは、顔全体をむけなくてはならないでしょう?

「光秀、教えろよ。」
「秘密ですよ。」
「気になるじゃねーか。」「そうですね…あなたの唇次第では、教えてあげなくもないですよ?」
「言ったな。覚悟しろ。」
抱きよせられる感覚は心地よくて、ふれる唇はやわらかいのにどこか荒い。
誰にでも頼りにされるあなたを少しでも独占したい、なんて言ったら笑うでしょう?

「教えてくれるか?」
「…あなたの左側が、好きなんですよ。」
「なんで?」
「なんとなく…とでも、言っておきましょうか。」
「光秀。」
噛み付くようにもう一度…
知りたかったら、あなたの左側を私以外によせないでくださいね…?

「私の特等席ですよ。」
「ふ〜ん?ま、いっか。」







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