阿部隆也
SHRが終わり週番の仕事である日誌を2人で書いていた…といっても阿部は見ているだけでほとんどは私が書いてるんだけど。
手伝う気ないなら早く部活行けばいいのに。なんて嘘。本当は一緒にいれるだけで頬が緩んじゃうくらい嬉しいよ。
「おまえって好きな奴とかいんの?」
なあ、聞いてんだけど。頬杖をつきながら言う阿部との視線が絡む。何でいきなりそんなこと聞くのよ。心臓が一瞬止まっちゃった気がしたよ!
『…いるよ』
「へー、いるんだ」
目の前に、なんて言えるわけが無い。ていうかなんで私も素直にいるだなんて言っちゃったんだろう。告白する勇気なんて微塵もないのに気まずくなるだけじゃない。
「同じクラス?」
『うん』
ドクンドクンと脈打つ鼓動。静かな教室のせいで、阿部にまで聞こえてしまいそう。私の気持ち知ってて聞いてるのかな?もしかしたら。なんて期待しちゃう自分がいるんだけど。
阿部が好き
喉元までは出かかってるのに勇気は出なくて、もどかしい思いだけが残る。やっぱり言えない。
「それってオレだろ?」
阿部の顔がだんだんと近づき、不意に奪われた初めてのキス。顔の熱が上昇するのに時間はかからなかった。
「付き合ってくれませんか?」
『順序が違くないですか』
棒読みの敬語での告白に対抗するのと、照れ隠しに少し意地悪く言ってみると、阿部はいーんだよと言った。
「で、返事は?」
『私も、好きです』
始まりは、放課後に
09.03.23〜