NARUTO
□貴方だけが
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『人は弱いね
一人じゃ生きていけないから
人は人の温もりを求めるんだ
弱くて一人じゃ怖いから
獣のように一匹じゃなくて群がるんだ
弱くて臆病だから
火を使い、森を、山を、焼き払うんだ
人は闇が怖いから
ホントはすぐ傍にいるのにね
人は酷い
こんなに近くにいるのに全てを否定するんだね
人は悲しい
人は淋しい
一人では生きてゆけないのに心は独りきりだから
それでも
それでも
それがとても愛しいね
〜名も無き幻の精が謡う無償の愛の詩〜』
「・・・・これ、何?」
それがこの詩を読んだうずまきナルト(もうすぐ)5歳の第一声だった。
***
綺麗に晴れた青い空。
吹く風は穏やかで、秋の気配を含んでいた。
木の葉隠れの里は、いつもと変わらぬ生活の営みが流れている。
10月10日という木の葉の里にとって忌むべき日が、すぐそこまで近付いていることを除いて―――。
10月10日。
それは、うずまきナルトの誕生日であると共に、彼が最も嫌う日である。
1年前までは。
今では一番好きな日になりつつある。
なぜなら・・・・
「イーターチ〜v」
イタチが火影邸の奥のナルトに与えられている家の扉を開けると、語尾にハートマークが付いた声が聞こえた。
そして、それと共にイタチに向かって風の速さで駆けて来る一人の4歳の子供。
無論、ナルトである。
ナルトは、ドスッという効果音が付きそうな程の勢いでイタチに抱きついた。
普通の人間なら、この速さでぶつかり・・・いや、抱き付かれれば、いくら抱きついたのが4・5歳の子供と言えども、タダでは済まないはずだ。
だがイタチは、いつもの事なので上手くふわり、と受け止める。
最初にこの勢いで抱き付かれた時は、さすがに受け止めきれず、二人一緒にひっくり返った。
しかも、咄嗟にナルトを庇い、イタチは強く頭を打ちつけ、意識がとんでしまう事態になってしまったのだ。
その時の教訓は長く生かされることになるのであった。
「イタチ、今日は一日一緒だよな?」
というか、一緒じゃなかったら、イヤだ!!という言外の言葉が付いているような・・・。
とにかくイタチに抱きついたまま、ナルトは尋ねる。
その姿にイタチは、最初はこんなに懐いてくれるとは思わなかったと、苦笑をもらす。
「今日は一緒だ・・・というか、今日からナルトの誕生日が過ぎるまで、ここに寝泊まりすることになったから」
ナルトは自分のお気に入りの場所(この場合は『家』)に人が入ってくる事を好まない。
イタチに対しては、そんな事は無いのだが、三代目が『家』に入ってくる時でさえ、ナルトの気は少し強張る。
半年程、護衛をしていて気付いたのだ。
なので、一応ナルトの反応を見る為に、ゆっくりと言葉を紡いだ。
しかし、イタチに関してだけは、そんな事は取り越し苦労である。
抱きついたままのナルトは、その言葉を聴いて満面の笑みを浮かべる。