洋館シリーズ

□洋館へ行こう!外伝
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キラ&アスが洋館へ来る前。
イタチがナルトに拾われて一週間後のこと……





東京の外れ、閑静な住宅やマンションに囲まれて、“それ”は泰然とそびえていた。
4月のうららかな陽気もまるでその場所を避けているかのように、冷え冷えとした雰囲気を纏わり付かせた“それ”。

雨風に曝されて、くすんだ外壁を覆うのは一面のツタ。
かつては左右対称に整然と整われていた樹木は、既に当時の面影を忘れ、滅茶苦茶に枝葉を伸ばしまくっている。
広大な庭の所々に置かれた趣味のよくわからない像達は、やっぱりよくわからない。
そんな全てが無茶苦茶の根源こそ、昨日も今日も明日も幽霊屋敷と御近所に言われ続ける巨大な洋館なのである。


いつもは人が住んでいないと思われる程静かな洋館。
しかし、今日ばかりはそこに怒声が響き渡った。


「何やってんだ、ってか何やろうとしてんだ!?」

そう憤るのは人外魔境と言われる洋館の主、うずまきナルト11才。
つい一週間前父を亡くした天涯孤独の少年である。

一人で暮らすには確実に大き過ぎる家だが、今は同居人(居候とも言う)の青年がいる。

その青年は玄関の取手を持った状態でナルトを振り返った。


「………買い物だ」

無表情に返すのが同居人のうちはイタチ。
渋染の着物を着て、落ち着いて見える彼はこう見えても16才である。

イタチがこの洋館で暮らす要因だが、長くなるので割愛する。
ただ一つ言えば、ナルトが怒っているのもその事が関係している。


「アホか―――!!イタチが外に出れば、妖どころか最高クラスの神まで寄ってくるぞ!?
そんなんになったら、買い物どころじゃないだろ!?」

「――近所に買い物所があると聞いた」

「か、買い物所…スーパーマーケットだな。
そうだよ。確かに500メートル南西にあるが、500メートルもあればうじゃうじゃ寄ってくるだけじゃ済まないぞ?」


暗に命の危険があるのだと言っていた。

そう、最高クラスの神まで欲しがるイタチの神依り体質は凄まじいの一言だ。
神一人ならともかく、二つ三つも出てくるとこの土地のバランスが崩れてしまう。
そうなると、大地震が起こるか大干ばつが起こるか大地盤沈下が起こるか……

何にしてもタダでは済まない。


それなのにイタチに外を出歩かせられようか?
たとえ近所のスーパーまでだとしても……。

ナルトが怒鳴ってでも止めようとするのは当たり前だった。

   
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