□Bad Fairy
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頬に何かが触れた。

痒いなあと思いながら掻く。

変な夢を見ていた。

甘い匂いがするので蜂の俺は、ブ〜ンっとその匂い目指して飛んで行く。

大きなオレンジ色の花から甘い匂いがしていて、その花の真ん中に白い羽の別の生き物が丸くなって寝ていた。

その花にとまり観察する。

妖精?白い肌に高い鼻。

斗真だ。

でもフワフワのワンピースなんて着ている。

だいいち背中に羽だし。

が、観察していると急に腕を伸ばして欠伸をして、パチリと目を開けコチラを見て来て微笑んだ。



「蜂さん、おはよーv」

「蜂じゃないよ。小栗だよ。」

「そーなんだ。あ、今から待ち合わせしてて出かけるんだぁ。じゃあねv」



俺の頬に音を立てて『チュ』とキスすると、パタパタと羽ばたかせてスゥ〜っと行ってしまった。

頬が痒いのは、軽くキスされたからだ。



「あ"」



慌てて起きると隣で寝ていたと思っていた斗真がいない。

飲んだ缶類は流しの方に片づけられていた。

そしてテーブルに電話機脇のメモパットの切れ端に書かれた『今日はコレから買い物の約束があるから行ってきますv』の言葉。

さて、今一番の問題は…

斗真は俺のホッペにキスしてから出掛けたのか?


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