□爆/莫逆(バクギャク)
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莫逆(バクギャク)

心の通い合ったきわめて親しい間柄。








「アキラー」
「…ホイサっ」

名前を呼ばれて振り返れば、投げて寄越された鍵。

考える必要もない、これは江口さんのバイクの鍵で、俺に寄越すって事ァ先行ってエンジンかけとけって事だ。

そっかー今日江口さん部活ねーんだ。
海岸線でも流してシゲさんとこでも行くんかな。








俺はアキラを呼んで振り向かせて(それすら確認せずに)愛車の鍵を放った。

当たり前の様に受け取ったアキラは、俺が用件を言う前に返事だけして下駄箱へと向かって行く。








「よー皆はよ」
「なーんかハラサーとサクライは家の手伝いで、マルはこの前のダチに会うっつって先行きましたァー」

何だよ集まりわりーなー
そう言いながらも江口さんが上機嫌なのは今日が少し暑いぐれぇの晴天だからだな。
バイクで走るにはちょーどいい日だかんな。

「したら海岸線でも飛ばしてよー」
「じぇんとる麺でも行きますかー」

やっぱりこんな日のコースはお決まりのモンで、二人して笑って、それぞれの単車に跨がった。








「ッだァ!?この野郎!退けよコラァ!!」

アキラが派手にフカして凄む向こうには10人位の権田たち地獄の軍団。

どうやら同じルートだったらしい。

「どけよ権田ァ」
「逃げるか江口ィ!それともあれか?湘南爆笑族は3人欠けただけでケンカも出来なくなっちまうのか!?ハッハーこいつぁ傑作じゃねーか!」

……ブチッ

「上等だコラやってやんぜ、なぁアキラ」
「あたりきっスよ江口さん。こいやコラァ!!!」
「人数の少ねぇ湘爆なんて敵じゃねぇ!!…やっちまえ!」




ドカッゴシャッバキッ





「ざまぁカンカンッ一昨日きやがればーか!」

俺と江口さんが負ける訳がなく、権田は何度聞いたかわからねぇ捨て台詞をはいてどこかへ消えた。

「わ、なんすか江口さんっ」
「血ィ出てんぞー」

イキナリ江口さんに右頬を袖で擦られた。
確かにさっき瀬島に殴られたし、ヒリヒリすっからな〜

「イテェイテェっ江口さんイテェよーっ」

もー血止まりましたから;
俺がヒーヒー言うの楽しんでるでしょ!

「イテテ、あ、江口さんだって!」
「あ?イ、イテテテテッ」

俺と逆の位置、左頬に同じよーな傷。
仕返しとばかりに学ランの袖で擦ったらやっぱり江口さんも痛いらしい。
ザマーミロ(ボソッ








「お揃いっスねー」
「バ、バーカ」

へへへとか無駄にうれしそーに笑ってるアキラを小突いて、そのまま置いていこうとしたら後ろでキャンキャン吠えたけど、この際シカトだシカト。(俺は悪くねぇ!アキラがワリィんだアキラが;)

実際先に走り出したらスゲー勢いで追い付いてきて、ホント犬みてぇ。

かわぃやいや;
ヤ、ヤンヤカヤーン♪

………………………;








もーなんなんすかイキナリ!!
先に走りだした江口さんに必死こいて追い付いて、どうやらじぇんとる麺まで遠回りして行く事が判明。

なんかものスゲースピード出してるけど、遠回りすんなぁ賛成っス。

やっぱ単車乗ってんのは楽しいし、江口さんと一緒なら尚更だ。

江口さんの走りはスゲーまっすぐで、眩しいぐれーだから、一緒に走ってたらどうやったって楽しくなっちまう。








勝手にじぇんとる麺までのルート変えて走っちまったけどアキラはちゃんとついて来てて、しばらく流してからでもラーメンは遅くねぇかと思う。

単車で走んのは、俺にとっちゃ3度の飯より栄養になるモンだ。

チームで走ってんのも、まぁ一人で走んのも好きなんだけどよ、アキラと走るのはなんか特別で、くすぐってぇ。
いつもすぐそばにあるアキラが走らせてる単車の《音》は、いつだって笑ってるみてーで、そんな音聞いて楽しくならねぇ訳がねー。








津山さんにはワリィけど、
民さんにはワリィけどよ、


ココだけは譲れねぇ





当たり前な幸せをくれるのは
いつだって隣にいる君。



★☆
ぐだくだ
言いたいのはいつも通じ合っちゃってる2人だってことっす(-.-;)

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