◇このお話は、以前の拍手の【紅の人に会ってみた】の続きのような話になっていますので、先に【紅の人に会ってみた】をお読みいただく事をお勧めします。
【彩ちゃんの所に、迷彩の人がやってきた】
今日は良い天気だなぁ〜♪ポカポカで暖かい。
こんな日はミケ(愛猫)と縁側で戯れよう! ねこじゃらしでじゃらしたり、肉球ふにっふにっするんだ!
「あ、彩ちゃんここにいたの?」
「へ? あ、成実くん」
ミケを抱っこして縁側に向かおうとした時、突然成実くんに声をかけられた。
あ、成実くんは政宗様の従兄弟なんだよ。
顔は政宗様に似てるけど、雰囲気はまるで違う人。気さくでみんなのお兄さんって感じの人なんだけど、これでも伊達三傑の一人だから戦の時は滅茶苦茶頼りになるんだよねー。
「どうしたの? 私になんか用事?」
「用事があるのは俺じゃなくて片倉なんだけどねー。片倉、彩ちゃんの事呼んでるよ?」
え゛。
「まーた何か悪戯でもしたんでしょ?」
「う゛…」
してない! って否定出来ないのが悲しい…!
図星な私を見て成実くんは、やれやれと呆れたように苦笑して私の頭をワシャワシャと撫でる。
「ま、嫌な事はさっさと済ませるのが良策だよ? 覚悟決めて叱られに行ってきな」
「うわーん! 成実くんの薄情者ー!!」
「あはは、片倉は道場だって。いってらっしゃい彩ちゃん」
恨みを込めて成実くんを見やりながら、その場を後にしようとすると親切にも私に小十郎様の居場所をくれた。
もー! そんな優しさ、私を助ける方向で向けておくれよ!!
心の中で私は成実くんに叫びながら、トボトボと足取り重く道場へ向かった。
因みにミケはこれから起きるであろう、不吉な出来事を察知したみたいでスルリと私の腕から抜け出してどっかに行ってしまった。
ちっくしょー! ミケも私を見捨てやがったよ!!
「しっかし、どの件で呼び出されたんだろ?」
ぶっちゃけ、心当たり多すぎてわかんないし(ヲイ)
「三日前勝手につまみ食いした事? それとも、昨日やった政宗様の馬に無理やり可愛い衣装着せた悪戯の方…?」
考えられる事をぶつぶつと呟いていると、いつの間にか道場の前まできてしまった。
「…まさか、今日の畑の水やりサボったやつか?!」
てか、もし昨日か今日の件だったらやばい、やばすぎる! 小十郎様、政宗様と野菜の事に関しては容赦ないし…。
と、取り敢えず謝ろう! 先に謝っちゃえばなんとかなるよね?
よし、第一声は謝罪の言葉でいくぜ!
「小十郎様ー! ホントにマジでごめんなさい!!」
て、おっきな声で叫びながら道場の戸をスパーン! と開け放してみた。
だけど、戸を開けた先に居たのは、
「彩、お前はまた…」
私の毎度馬鹿な行動に心底呆れて、眉間に皺なんか寄せちゃって、
「もう少し大人しく出来ねえのか、お前は?」
いつものようなひっくい良い声で私をたしなめる、
「ん? どうした、彩?」
私が黙ったままで不信に思ったのか、少し困惑気味にこっちに向けた頬に傷の有る見慣れた顔の男。
でも、コイツは…
「アンタ、誰?」
違う。コイツ、小十郎様じゃない!!
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