完結記念部屋
□シアワセの結末
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ふわり、と自分の髪が少しだけ煽られるのを感じて、メグは目を覚ました。
ゆっくりと瞼を開いて窓へ目をやると、少しだけ開けられた窓のから入る柔らかい風で、ひらひらとカーテンが揺れている。
まだ寝ぼけている頭でそれを見つつ、手を横に滑らせた。
シーツの感触。
それ以外は何も感じなかった。
もぞりと寝返りをして確認。何も、ない。
瞬きを数回してようやく目が覚めた。
(…起こせよ馬鹿)
目が覚めたらやる事は決まっている。
『決まっている』と言うより『身についた行動』の方が正しい気がするけれど。
故意に止められたであろう目覚ましで時間を確認して、ほっと息を吐いた。
ガチャリと部屋の鍵が開いたのを聞いて、メグは玄関で靴を脱いでいる男を見た。
「…おかえり。んで、おはよう」
「ぅおっ…た、だいま」
「起こしてくれれば付き合うって言ってんだろ」
「あー。まぁ、毎日付き合わせるのは悪ぃし」
「…朝飯、もうすぐ出来るから。先にシャワー浴びてきな」
「おー」
ジャージの上着を脱ぎながら洗面所へ向かう背中を見送る。
それからシャワーを浴びた男はワイシャツとスラックスの姿でテーブルに着いて、私達の朝は始まる。これが日課だった。
「…ルイ」
「ん?」
「今日は真っ直ぐ家に帰ってきなよ。いいな?」
目の前でメグの作った朝食を食べていた男は、その言葉に、ギョロっとした特徴的な目を私に向けた。
「何でだよ」
「いいから」
「残業は?」
「どうしても必要なら連絡」
「分かった」
少しだけ頷いてまた箸を進める男に気を良くしてメグは自分も朝食に手を付ける事にした。
ネクタイとスーツに身を包んだルイをアパートの部屋から見送って、
朝食の片付けをして、先日からの雨続きで溜まった服を洗濯機にかけて。
ルイが朝起きた時に少しだけ開けた窓を全開にして風を通す。
今日はパートも休みで一日自由だ。
ベッドにもたれて少し目を閉じて今日一日の予定を立てる。
開けっ放しの窓からは微かに近くにある小学校に通う子供達の元気な笑い声が聞こえた。通学時間になるといつも賑やかだ。
(洗濯終わったら掃除して、買い物行こう)
寒くなってきたから冬服でも買おうかな、なんて思案していると、洗濯機の完了のお知らせが聞こえた。
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