宝物部屋

□瀬奈次郎様より☆
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 ベッドの上ではかわいいいくらい(そんなこと口が裂けても誰にも言えないが)一生懸命なのに、ヤツの領域では格好いいと思い始めた。認めたくないけど。


 手元にファイル。うまいかと言われるとちょっと考えるけど私よりはうまくて、とりあえず読みやすい字が図つきで並んでいる。合間をぬって抜け出して、今からやるのはこれだ、と言ってきたのはついさっき。もう何事もなかったかのように練習に戻っている。
 なるほどね。これ手伝うとしたら次からは私もジャージとか着てきたほうがいいのかも。

 俺が僕がと言い合うダブル洋。あきれたように見てる先輩たち。水町が手を振ってきたから振り返した。
 ヤツは、睨んでくる。嫉妬だとしたら(考えられないけど)かわいいいものだ。
 とりあえず笑ってもっと他の人に愛想ふりまいとこ。すると、ヤツ。
 ああちゃんと確認してろって?はいはい分かりましたよ。

 まあそういうことおいといて。

 ぼんやり見ることがとても多かった(今も?)私だけど、自分が(名前だけでも)所属する部の選手たちは黙ってれば本気で格好いいってことだ。クラスの女子がきゃあきゃあ言ってたのに前はまったく理解できなかったけど、ベッドの中で見るヤツの体が他の男と違う理由が(背の高さとか抜きにしても)納得できる。
 汗水流して走る、跳ぶ、体当たりする。私のことなんか目にも入らずにひたむきに。
 うーんセイシュンってヤツですか。

 それはとても(私には真似できそうにないし)格好いいことだと思った。
 きっと私がこんなこと考えてるだなんてヤツは知らないだろう。あの試合より前だったら確かに柄にもないしありえないけど。



曖昧な日々



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