小説

□ファーメリア(色)のオマケみたいな
5ページ/5ページ

頸動脈。
胸。
腹。

その他、無数ある急所の内、一ヶ所のみ傷を負った死体が散乱している。
寸分の狂いも、躊躇いもなく。その死体を作り上げた者は相当の手練れと分かる。

妙であるとすれば、その死体の大半が魔物である点か。

ウェアウルフ種等の魔物が、たかがナイフ一突きで倒れる筈もない。しかし実際に、例の傷以外が一切見当たらないのだ。

床を見ると細かな何かが松明の光を反射した。

――銀。

予め散布した銀が、致命傷に及ばない傷から侵入し、死に至らしめたのだろうか。

集めても大した物ではない、質の悪い代物ではあるが、退魔作用から高値で取引される事もある。

それがこの様な使い方をするのがまず、稀だと言える。
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ