小説

□ファーメリア(色)のオマケみたいな
3ページ/5ページ

「死花、仕事だ」
「…その名で呼ぶな、ゼロ」
覆面の奥から、ゼロという男性を睨む。
「別に良いじゃねぇか、羨ましい限りだぜ」
死花と呼ばれた男……は、ゼロに呆れたかのような溜め息を吐き、彼が持ってきた依頼書に目を通す。
「……領主の護衛……だと?」
「ああ、世の中、戦、戦……マトモな仕事の一つも入らねぇ」
「フンッ、暗殺を真面な仕事とは……」
死花と呼ばれる者は、依頼書を丸めて投げ捨てる。
「うわっとと!?」
ゼロはそれを、ゴミ箱に落ちる前に掬い上げるのだが。
「戦争のどさくさに紛れた暗殺の依頼で、俺達は人手不足なんだぜ?それに、イガグリだかイークラーだかの暗殺を受けた奴等も、何人も死んじまってる。俺達に仕事選ぶ権利なんかねぇのさ」
「……それ程厄介な相手なのか?そのイーガルンとやらは」
死花と呼ばれる者は疑問を投げ掛けた。
「妖魔が側近らしい。それも、上級のな。幸い生き延びた奴から聞いたが、デーモン級の奴等を何匹も従えていたらしい。で、それがどうかしたのか?」
「いや、いずれ請け負う可能性のある仕事だ、情報も必要だろう?」
「なーる……」
死花は椅子から立ち上がり、テーブルに置かれた一本のナイフを鞘から取り出した。
鈍く煌めく剣身を見つめ、再び鞘に納める。
「行くぞ、ゼロ。仕事の時間だ」
「お、領主様を守る気になったか!そうじゃなきゃリグラッドって感じがしねぇぜっ!」
「勘違いするな、俺は守る為の戦いは好まない……」
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ