「好きなんだけど」

□オジさんの印
1ページ/1ページ




おめでたい事に、

あの忍チンが、
T大に合格しました。

玄関前で、俺はその知らせを聞き、心の底から喜んでやったのだが…

本人はいつもの生意気な態度で


「当然だろ。」


と、一言吐き捨てて、俺の前を横切り、最近越してきた隣の家に入ってしまった。


……………。


ま…まあいい。

アイツなりに、きっと照れているに違いない。


それより、何か祝ってやらないとな。


ましてや、
こ…恋人なら。


そうだ、
祝ってやろう。


俺は、珍しく気合いを入れた。


──……



そして、忍が大学へ入学し、しばらく経ったある日の夜。


「忍、今度の日曜、空けとけ。」

「ごめん、その日は無理。」


な……。


正直、断られるとは思ってなかったから、

オジサンの俺でも、深く傷ついたり…。


「大学の友達と先輩達と飲み会があるんだ。新入生の歓迎会だって。」

「…ほぉ、そうですか。」



俺は逆に、

忍チンは顔を真っ赤にして体をプルプル振るわせながら喜ぶ姿を勝手に想像していたから、


衝撃が強かった。


「その日、何かあった?」

「いえ?別に?何もありませんよ?」


クソ…


大学の奴らに、先を越されてしまった。

大学での生活が落ち着いてきたら、誘おうと考えていたのだが。

……遅かった。



今の俺は、動揺を隠しきれているだろうか。

妙な汗が、首筋に流れ落ちる。




別に違う日に誘えば済む話しなんだが…

納得いかない。



歓迎会?




そんなもの、


断ればいいじゃないか。



そんな言葉がつい、口から出そうになった。


し、しかし…
忍は学生で…

俺は大人。


くだらん事で、
嫉妬してどうする。


友達とかと遊んだりするのは、当たり前の事だろ…


普通の事だろ?



……。


でもそれが、

許せない。



こんなに忍の事に執着する様になったのは、いつからだろうか。


昔の俺には、あり得なかった事だ。




忍…。



忍……。



俺は、こんなにもお前の事が好きなんだぞ。

分かってんのか?


このクソガキ。




──……


そして日曜。



「おい、忍」

「…何?」


出掛ける寸前の忍を捕まえ、引き留めた。


「夜の道は物騒だ、早めに帰ってこい。いいな?」

「はいはい。じゃあ行ってきます。」


…………。


「……待て」

忍の細い手首を引っ張り、引き寄せる。

「…今度は何っ…ってっ///…あッ…みっ…宮城!?//」

「…っ……忍。」



気付いたら、忍の首筋に食らいついていた。


「っ…なっ……あッ…///み…宮城!何吸い付いてっ…お…おい!!あッ////」




──……



「印、付けといてやった。有り難く思え」


「し…印てっ…/////」



無いとは思うが…

これで万が一、

忍が襲われたとしても、俺の物だと分かる。


「ばっ…馬鹿宮城!!///隠れねーじゃねぇか!!」

「見せつけてやれ。構うもんか。」


忍は首筋を手で隠し、顔を真っ赤にさせながら焦っている。

しかし俺は、この反応が見れて安心する。



「は…はぁ??////訳わかんねーよ!!」



忍…


ずっと俺の傍から、
離れるんじゃねえぞ。



何処にも行くな。




その可愛い態度は、



俺の前以外、
絶対にするな。



「っ…何でこんな事すんだよ!///」


相変わらず顔を真っ赤にさせながら、文句を言う忍。


それが愛しくて愛しくて、堪らない。


「何故って、それはですね…」


この俺の気持ちが、

コイツはまだ分からないらしい。


「…………」



俺は、


忍チンの耳元で

囁いてやった。




「お前の事が、好きだから。」



「っ…!?///バカヤロー!」


そう一言吐き捨てて、
忍は歓迎会へ出掛けて行った。



【END】


〜あとがき〜

WEB拍手の方でリクエストを頂いたお話でした。

い…
いかがでしたか(+_+)?

最後がバシッと決まっていないんですよ(°-°;)

こっそり書き直すかもしれません(笑)

こんな作品になってしまいましたが、リクエストを下さった方!そしてお付き合い下さった方、ありがとうございました!


【2008.10.31】
     黒ごま



.

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ