貴女に捧げる夜

□第三章・匂い
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授業開始の予鈴で我に返る。



結局、昼休みが終わるまで愛撫を続けていたようだ。


彼女はぐったりとした身体を
気怠げに起こす。



『リョータ、このまま帰っちゃおうか?』



カバンからティッシュを取出し
処理をしながら言った。



『ダメだよ。授業は出ておかないと』



“真面目なんだから”と口を尖らせる彼女。



屋上にゴミ箱はなく、
処理をしたあとのティッシュを丸め、手持ちぶさたに弄っている。



『捨てておくよ』



彼女からティッシュを受け取り、屋上をあとにした。



彼女を教室に送る。



“また帰りね”



と彼女は笑顔で言い、友達の輪に混ざっていき



僕はそのまま、元来た方向へと
足早に歩いていった。





屋上で、
1人授業開始のチャイムを聞く。



握りしめていた丸めたティッシュを丁寧に開いた。



まだ完全に乾ききっていない。



彼女の愛液が、
少し糸をひいている。



ティッシュの上から見ると、
透明だと思っていた愛液は
薄く黄みがかっていた。



残念ながら、匂いは殆どしない。
舐めてみても、
味も然程しなかった。



がっかりはしたものの、
先程の彼女への愛撫を思い出すと
僕の身体は再び反応し、脈打ち始める。



ティッシュについた
彼女の愛液に軽く舌を押し付け
まるで彼女自身に愛撫するかのように、先を尖らせ円を描いた。



適度に粘着力を残した愛液が、
僕の舌を滑らせてくれる。
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