貴女に捧げる夜
□第二章・初体験
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『入って』
彼女の家は学校の近くのマンション。
本当に家族はいないようだ。
『おじゃまします』
玄関先で脱いだ靴を揃えてる僕に
『そんなこと、しなくていいよ』
と、つまらなさそうに言い、
手を引っ張った。
然程長くない廊下の突き当たりが彼女の部屋で、僕をそこに通すと
『ジュース持ってくるね』
と、部屋を出ていった。
北国とはいえ、真夏の昼間はクーラーが効いてくるまで部屋は蒸し暑い。
が、そんな暑さは気にもならないくらい
女の子の部屋が初体験の僕には珍しいものがいっぱいで
彼女が戻ってくるまで、部屋中を見回していた。
『何か、珍しいものでもある?』
よく冷えたコーラを僕に手渡して、彼女が言った。
『女の子の部屋、初めてだから』
『そうなんだ?置いてあるもので違うものなんて、化粧品くらいだよ』
そう興味なさそうに答えると、彼女はコーラを一口飲み、僕の膝に跨がるように
乗ってきた。