貴女に捧げる夜

□第八章・克服
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僕の通う大学は、都心まで電車で一時間。
一人暮らしをしているマンションは学校の近くにある。
一応6畳のワンルームで新築なのだが、とにかく狭い。



しかし、初めての一人暮らし。
自分だけの城に、僕は満足していた。



週2日、塾の講師のバイトをしながら、慣れない家事と大学での勉強。



帰省もせずに、忙しく過ごしていた僕は
彼女の事が気になりながらも、
こっちの生活が大変なのと、一人暮らしが快適なのとで、
鳴らない電話を気にしなくなっていた。



たまに電話をかけても



“寂しい…いつ帰ってくるんですか?”



と泣くだけの彼女に、疲れていたんだと思う。



こんな事、いいわけにもならないけど。
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