貴女に捧げる夜
□第六章・未知の匂い
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夏休みが終わると同時に、勉強に専念する、という理由でバイトを辞めた。
受験を控えた僕はこれから更に気合いを入れていかなければならない。
はずなんだけど
彼女の家は、両親が共働きで
夜もあまり家にいることはなかった。
そのため、彼女がバイト休みの時は彼女の家に入り浸る事が多くなり
勿論勉強も欠かせない僕は、彼女の家から帰った後、明け方近くまで勉強することになる。
睡眠2時間のハードな日が週の半分以上を占める。
けれど、僕は充実していた。
好奇心旺盛で愛撫されることが好きな彼女は
挿入しない、ということにあまり疑問を持たず…
それどころか、挿入しないことは僕の優しさだと感じているようだった。
友達に、
“自分ばかり気持ちいいと彼が不満に感じて浮気されちゃうよ!”
なんて言われたようで、僕にも愛撫をしようとしてくることもあったんだけど、僕はそれをやんわりと断る。
“香奈が気持ちよさそうなのを見ていると僕はそれだけで満足だから”
その言葉で、彼女は嬉しそうにまた僕の愛撫を受け入れた。
“挿入”という(僕にとっての)難題を越えたあとの僕の欲求はとどまる事を知らない。
生理中の時も愛撫を試みたが…
生理中の匂いは強烈で
また嗅ぎたいと思ったけれど、
血の多さにひいてしまった。
どうやら、僕は血が苦手らしい。
大きなケガもしたこともないので、今まで気にしたことなかったけれど。
こんな事で自分の苦手なものの1つに気付くなんて。と、苦笑いする。
愛撫もなしに匂いだけ嗅ぎたいなんて、さすがに言えず、一度嗅いだきりだったけど
生理の匂いは
僕に強烈な印象を残した。