Trash
□10回R
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前回の10回ゲームは私の負けだった。
それは認めよう。
だけど私は諦めない。
絶対にこの勝負……勝つ!!
10回 R
「国光!シカって10回言って?」
「またやるのか…」
「当然!国光が間違えるまでやるよ!!」
「…そのやる気を他の事に回そうとは思わないのか?」
国光の冷ややかな眼差しにはもう慣れた。
慣れちゃいけないし、そんな視線を送らせないようにしないといけないんだろうけど。
とにかく、私の頭には「勝利」。
この2文字しかなかった。
「絶っ対にドイツ語禁止だからね」
「…あぁ。
だが俺は負けないからな」
「ふーん?じゃあシカを10回言ってご覧?」
「(腹立つな…)
シカ シカ シカ シカ シカ
シカ シカ シカ シカ シカ 」
「サンタクロースが乗っているのは?」
「そり」
なっ……?!
「どうした?まさかトナカイとでも言わせたかったのか?」
「くっ…!」
悔しい。
見てみなよ、この国光の得意げな顔。
『お前の力はそんなものか』
そんな事を言わんばかりのしたり顔。
ふふん、と今にも鼻で笑い出しそうなこの顔。
「…ムカつく…!」
「ならさっさとやめないか」
「ううん。絶対に負かす」
「…そうか」
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