ぬくもり
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彼との出会いは、海だった。
彼はジッと海を見つめていた。
一人で、その広い海をずっと見つめていた。
慧璃の家に行った帰り、あたしはその人に声をかけた。
『何してるの?ここでずっと』
彼は驚いてあたしを見たけど、すぐに優しい笑顔を向けた。
『海を見てる』
『そんなの見ればわかるよ』
『俺の名前、コレと一緒なんだ』
そう言って彼は海に向かって指を指した。
『……海?』
『そう。アレはこんなにも大きいのに、俺は小さい。名前は一緒なのに』
彼は、よくわからない人だった。