小説


□電波でキチガイと廃人
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「やべぇ!完全に遅刻だ!」
そう悪態をつきながら、ただ今、ご好評につき通学路を全力疾走中。
いや誰に好評なんだよ!
すくなくとも俺には好評じゃねーし!
くそ!布団のヤロウ!あいつ気持ち良すぎなんだよ!おかげさまで5度寝もしちまったじゃねーか!
あのフカフカでヌクヌクでフワフワなあの魔力は半端ない。
軽く魔王の最終形態を凌駕してる。
まぁ、それなら、5度寝もしかたいよな、うん。
だって魔王の最終形態を凌駕する相手だよ?
いわゆる隠しダンジョンにいるアレだよ?
そんな相手に選ばれし勇者でもなんでもない、一、高校生である大木音矢こと俺が敵うはずがない。
てなわけで、俺が5度寝するのもしかたなし!
だから遅刻するのはしかたないことであって俺がそのことで怒られるのは全くのお門違い。先生に遅刻の理由を聞かれても
「アレには勝てません」
と一言いうだけで、あら不思議、事は丸く収まるわけだ!
脳内では遅刻の言い訳を考えつつも全力で足を動かし続ける。
しかしこうやって、全力疾走するのなんて、いつ以来だったろうかと考えて難無く思い出した。

昨日だ……

そのことを思い出して軽くデジャビュ、たしか昨日も同じことを考えていて、同じことを思い出した……
激しく自己嫌悪。
ここ数日――じゃなくて、数ヶ月、毎日こんな調子だ。心の中で自分に自分で罵声を浴びせながら走り続けた。
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