かすか、馨れば



一目でも見れたら‥


ほんのり期待して、アイツの隊の方へと、ちょっとだけ寄り道




ふと感じた霊圧に顔を向ければ、遠くには柔らかくなびく君の髪


見晴らしのいい柵の上で頬杖をついて、ぼ一っと遠くを眺めている




またサボってやがる‥




俺は霊圧を下げ、ゆっくりとその背中に忍び寄った




どうやって驚かそう

耳元で大声をあげてやろうか

背中をどついてやろうか




あともう少し‥というところで、目の前の髪が揺れた


数メートル先でゆっくりと振り返ったお前は、ふっと笑った




「あ、やっぱり恋次だ」




なんで気付いたんだ!?


声をかけなくても気付いてもらえて嬉しいような、だけどなんだか悔しいような‥




複雑な気持ちで、小さな体の隣に立つ




「サボりかよ」

「恋次だってそ一じゃん」




くすくす笑う横顔を隣に見下ろして、柄にもなく微笑んだ




そういえば、今までコイツを驚かそうとして、一度でも成功したことがあっただろうか


驚かすつもりが、気付かれてはいつだって逆に俺がびっくりして‥


コイツへの気持ちに気付いたあの頃も、それを伝えられないままでいる今も変わらずに




「なぁ」

「ん一?」

「なんでお前、いっつも先に気付いちまうんだ?」




霊圧も、足音だってちゃんと消してるはずなのに




「え?‥‥あぁ、それはね?」










「恋次の匂いがしたから」










ふわりと甘い、風が吹いた




とくんと胸を揺らす君の言葉と

くすぐったい君の笑顔と

もうすぐそこまでやってきた、僕らの春の匂いを運んで







(俺ってそんなに体臭濃いのか!?)

(あはは、そ一かもね!なんでかわかんないけど、すぐわかっちゃうんだ)









拍手ありがとうございます!
恋次さんは絶対いい香りがすると思います←



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