お題部屋

□睡眠で10題 3.寝顔
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そう尋ねても返事はなく、代わりに寝返りを打ち向こうを向かれた。

大野が拳を握る時は快感に耐えるときだが、裏を返せば耐えるだけの強い快感を受けているときとも考えられる。
今もそれ相応に触れてはいるが・・・、耐えさせるほどのものではないし、耳元で囁いた時に大野が耐えたところなんて今まで見たことがない。「やめろってば」と真っ赤な顔で怒鳴ってくるのが普通だ。寝ているならば、最初と同じように少し震えるくらいだろうか。
しかしそうはならずに反応すまいと耐えているのならば、考えられることは、大野は既に起きていて杉山から与えられる行為に必死に声を抑えているという事実だけである。



「大野さーん」



後ろから包み込むように抱けば、やっぱり大野はビクリと震えた。が、返事はない。
しかし耳まで染まった赤が、大野がどういう状態かを示している。規則正しい寝息ももう聞こえない。



「大野」



起きていることを必死で隠そうとする大野が可愛くて、イタズラしたくなってしまうオレはもしかして結構なS?
杉山は大野が起きていると確信し、胸元へ手を滑らせる。自分より一回り細く薄い胸板は女の子のような柔らかさはないけれど、女の子よりも感度が良くて女の子よりも触り心地がいい。
案の定少し撫で回しただけでビクビクと反応し、体に力がこもる。自然体で寝るのが普通であろうに、今の大野はとてもじゃないが自然には見えない。

敏感な突起にツと触れると全身が跳ねた。一瞬だけためらったあと、ねっとりと楽しむように乳輪をなぞってから人差し指と中指で挟み込みコリコリとしごく。そうすれば呼吸は乱れ始め、熱っぽい吐息が手の平にかかった。



「・・・正直に言わないとこのままシちゃうよ?」



行為中の声で呟き、ホラ、と言うように首筋から耳元まで舐め上げる。



「〜〜〜・・・あっ・・・」



ついに漏れた声はこれ以上ないほどに甘くて、杉山の下半身を刺激した。
辿り着いた耳たぶを甘噛みし、舌を差しこみグチュグチュと犯す。



「やっ・・め、杉っ・・、分かったからっ・・・、もっ・・舐め・・なって・・・」



崩れ始めれば容易く、あっさりと白旗宣言。
杉山としては、もうちょっと意地を張って我慢してくれていた方が楽しみ甲斐があったのだが。でも朝から大野の可愛い声を聞けたので良しとしよう。

熱い吐息を漏らす大野の体を反転させ、こちらを向かせると、大きな瞳は既にトロンと淫欲に蕩けきっていてズクンと響く何かがある。腰も完全にぬけているのに、目だけは強気でギッとこちらを睨んでいた。強気ワガママ王子のお目覚めだ。



「おはよ、大野」
「・・・その笑顔ムカツク・・・」



最高の目覚めだねと杉山が言えば、最悪の目覚めだと大野が吐いた。本当に素直じゃない。





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