NiRvanA.

□序幕
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NivanA.
〜 序 幕 〜





…ここには 何も ないけど。

2つの音。犠牲の声。眠る幼子。昏き光。分たれる想い。
別々の、生命。
2つの光。追憶の幻想。忘却の記憶。信じてはならないもの。
揺れる光。歩んだ者。

…そこは 何処でも ないけど。

いつか失い、手に入れるはずの。昏き光。目覚めた仔が辿る。
手を離しても、交わる道の上で。出会う者。
生まれたまさにその瞬間から、彼らは個として歩んできた。
忘れてはいけないものは、すぐ傍にあったはずだ。
そう、何度でも。

…憶えているのは  感情  。


逆さま砂時計。 鳴り止まぬ断罪の音。

「かまうものか」

彼は呟く。
失った光はやがて染まり、手からすり抜ける。
何のために、何の所為で。
願ったのは 何 だ?

「かまう、ものか」

遣り遂げたい、遣り遂げなければならないこと。
それが、運命られたとしても。
変えてみせる、と誓った。 あの、光に。
響く鐘の音。打ちつける雨の音。解放されるもの。


あぁ、また 離してしまった。

手は血濡れ 何度でも。











そして、幾度目かの旅路。



犠牲の希望など、あれには必要ない。


































 

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