地下書庫‐地下十階

□‐悼歌‐
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世界は消えない。
消えさせない。





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未来視とは、文字通り未来を視ることである。
それを言葉にするのは、日々変更されていく未来の上書きを意味する。
それが繰り返されていくのが、本来の意味における『預言』なのだ。





刻一刻と迫る期限を、ルークはほくそ笑んだ。
せっかく道を示してやっていると言うのに、彼らはここまで気づかない。
いっそのこと清々しいほど鈍感だ。
ちょっと無茶したせいか、この身体は多少限界を訴えていたが、まだ大丈夫だろう。
それよりも何よりも、『栄光を掴む者』の行動は理解できない。
地上にいるにおいて不都合な力を、持って行かれてしまった。

―――まぁ、それでも俺の方が強いがな。

鳴るのは金属がぶつかる音。
鍔迫り合いの合間、ルークはヴァンに嘲笑いかけた。

「返してもらうぞ、"栄光を掴む者"」
「!!?まさか…」

そう だ 気づくのが 遅い

ルークは一瞬驚愕を見せたヴァンが、すぐに表情を見繕ったことに僅かながら威厳を感じた。

「……安心しろ、世界は続けさせてやる。
それがお前の望んだことだろう?なぁ『栄光を掴む者』?
戯れに詠んだ『預言』が、ここまで毒を帯びるとは思わなかったのでな。
……すまなかったな」

乖離していく者を見送り、ルークは鍵を手にした。

「ルーク…?」

今の会話はどうやら聴かれていなかったらしい。
それはそれでいいが、彼がいないと言うだけで随分と場が寂しい。
『仲間』が、こちらを見ている。
共に歩んできた。心惜しいが、こればかりは如何ともし難い。

「アッシュ」

きっとすぐに会える。
無理をしたのは彼の方だったか。
―――第七音素意識集合体、ローレライ。
その一端を担う、アッシュ。
清めの名を冠す者。





 
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